アメリカのバン・クライバーンピアノコンクールで辻井伸行さんが優勝した。パッとしないニュースが多い中でこの快挙は久々の朗報である。彼は生まれたときからの全盲だそうだ。このことは話題性アップの一助にはなったがハンディキャップが審査に好影響を及ぼすような甘いコンクールではない。彼の演奏は審査員にもオーディエンスにも大きな感動を与えたようである。
私にはまず素朴にどうやってあんなに難しいクラシックの曲を覚えたのか?が疑問であった。何でも先生が右手と左手を別々に弾き、それを聴いて覚えこむそうである。今回演奏したラフマニノフやショパンのコンチェルトでも1〜2週間で覚えたと言うのだから驚く。
これまでも全盲のミュージシャンはいた。ただヴァイオリンのように単音の楽器は比較的旋律を覚えやすい。またレイ・チャールズのようなジャズピアニストであればもともと譜面が不要なので全盲とて暗譜はそう大きな障害にはならない。クラシックのピアノ曲では譜面どおり一音のミスもなくあの複雑な和音を演奏しなければならない。それを全て耳だけで暗譜するのは想像を絶する集中力と記憶力を要する。
彼の父親は「これで自分で食べていけるかな」と語ったそうだ。独り立ちすれば20歳の彼にはこれから進路や生活や恋等多くの試練が待ち構えているだろう。そういう試練を乗り越えてまた更に一段とスケールの大きい奏者に育っていくのではないだろうか。 |
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